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2017年8月

2017年8月27日 (日)

リフレッシュ

 休暇をいただいて少し旅行してきた。今年は熊本での三日間の会議の前に念願だったこと、京都での墓参りと倉敷の大原美術館を訪ねたいと思って出かけた。お墓は京都の大きな寺の霊園で母方の祖父母の墓があり、同じ墓には私たち兄弟を自分の子どものように可愛がってくれた母の妹が昨年末に亡くなり納骨されていたからである。約3万の納骨仏壇の中からやっと探し出し、感謝を込めて手を合わせた。倉敷の大原美術館では、個人で収集されたものとは思えないほどの膨大な美術品や工芸品を堪能させてもらった。目的を達成した後の熊本では、インターン中の長男と会い、一か月半の体験を聞く機会があった。聞きながら自分自身がインターンだった頃を懐かしく思い出し、「帰りに最初の任地であった北九州を訪ねてみよう」と考え始めていた。
 1983年から4年間、八幡西区にあった黒崎教会で働いた。1966年に「全国レベル開拓伝道」の中で誕生した教会で、社会運動グループに積極的にアプローチしつつ宣教を試みていた。しかし教勢が伸びず、宣教方針の転換を余儀なくされて新卒の私が派遣された。(黒崎教会は1995年頃組織が解体された。)本教会が私を指名した意志は兎も角として、30年振りに黒崎駅に降り立って思い起こしたのは、「意気込みと不安半々の気持ちで黒崎駅から教会までの道を、結婚したばかりの妻と歩いたこと」であった。教会までは賑やかなアーケードを通るのだが、現在の繁華街はバス通りに移ったようで、かつての賑わいもなく閑散としたアーケードを歩いていった。そこを通り過ぎると直ぐに教会の建物が目に入るのだが、古い建物ゆえに取り壊されていると予測していったが、同じ場所に似たような建物が!入口付近には少し手が入ったようだが、恐らく建て替えもせずに外装を変えて使用しているようであった。10人前後の礼拝、それでも長女と次女が生まれ、私たち家族にとっては第一歩を踏み出した地。あれから30数年、主が宣教された10倍もの時間を経ながら、どれほどの働きが出来たのだろうか。働きの成果は主にお委ねすれば良いこと、牧師として召された喜びだけを携えて、今派遣されている市川教会で宣教の務めを果たせば良いのだと、第一歩を始めた地が語り掛けてくれているようであった。

2017年8月20日 (日)

適うこと

 「平均より長く幅広く高さがあり、全体的に外側に傾いており、左右に差がある。」これは私の足についての測定結果である。この結果、私の足にフィットする、既製品の靴はないということが分かった。どうりで靴選びに苦労する訳だ。
 靴に関して言えば、私は履ければそれで充分というタイプである。私の足は甲高ということは自覚していたので、似合うことを考える前に、履けるかどうかを考えて探してきた。足の長さ(25.5㎝)の靴でも甲高なので大抵履けないので、つい「履ければ何でも良いか」となってしまう。その結果、見た目にも靴がくたびれてきたと思う頃に、やっと「新しい靴を買わなきゃなぁ」と重い腰を上げるのが常であった。先月、二年ぶりに靴を買った。少々窮屈かと思ったが、色も形も気に入ったので「少々窮屈」ではあったが妥協して購入した結果、数回履いて「この靴は長時間履くには耐えられない」という結論に至ってしまった。とはいえ高価な靴、家内に正直に言うことも憚られるので、密かに別の靴を探すことにした。何気なく入ったAというスポーツメーカーの靴屋に入った時、「足型測定をしてみませんか」と勧められた。それが冒頭の結果である。右が左に比べ長さと幅が5㎜長く、甲は左が1㎜高い。その他も左右の数値で同じというものは全くないため、60余年、幸か不幸か私は「妥協の靴」を履き続けていたという結論を得たのであった。
 靴に限らず衣食住、生きていくために必要なものを私たちは探し求める、私に合うものは何かと。だからつい信仰においても同じ心根で向き合ってしまうことがある。私が求め、私に合う信仰をと。12年間の長血で苦しんでいた女性も癒しを求め、イエスの衣に触れることで癒された。彼女は願いが叶えられたのでそのまま立ち去ろうとしたが、イエスは自分から力を取り出した人を探され「あなたの信仰があなたを救った。」と彼女に言われた。(マルコ5章) 彼女の目にイエスが適ったのではなく、イエスの目に彼女が適ったのであり、信仰の行きつくところがここにある。神の思いに自分が適う者とされていることを受け入れられたなら、あるがままで喜んで生きていきなさいと語ってくださる神の声が聞こえてくるのではなかろうか。
 そうそう家内には内緒だが、左右の違いを中敷きで調整してもらった新しい靴を買い、私は今週、休暇を楽しませていただいています。感謝!!

2017年8月13日 (日)

平和

 8月は、私たち日本人には重い月である。核兵器を二度も経験させられた月であり、「八紘一宇」を掲げアジアを侵略した歴史が終わった月であるからだ。その意味で、8月15日は「終戦の日」ではなく、やはり「敗戦の日」であり、戦前の国家主義が破れ、主権在民の国の始まりだからこそ、「平和」を意識しつつ過ごしたいと改めて思う。
 「平和」という言葉でいつも私が思い出すのは、牧師になって最初の教会で一緒に働いてくださったウエンツ宣教師のことである。先生は千葉教会や鹿児島県の阿久根教会などを歴任され、私の最初の任地黒崎・直方教会の宣教師として派遣され、二年間一緒に働いてくださった。穏やかで静かな先生であったが、外国人であることを意識して「私は歩く広告塔」と積極的に地域の人々と交流しておられた。「福音のためなら、わたしはどんなことでもします。それは、わたしが福音に共にあずかる者となるためです。」(1コリ9:23)という聖書の言葉を実践しておられた姿に、私は牧師として大切なことを先生に教えられたと今も思う。もう一つ、鮮やかに思い起こすことがある。写真を撮る時に何げなく人差し指と中指で「ピースサイン」を出した時、物静かな先生が「それは好きではない、戦争に勝利した時のVサインだから」とはっきりおっしゃった。先生は戦争の悲惨さをご存知であったからこそ、「戦いの勝利で得た平和」を望んでおられず、Vサインを拒否されたのだと思う。
 平和はヘブル語で「シャローム」という。もともとは政治的な概念ではなく、「何かが欠如したりそこなわれたりしていない充足状態」をさしており、そこから人間の生のあらゆる領域にわたって真に望ましい状態(例えば、無事・平安・安心・健康・繁栄等)を意味するようになった。預言者たちは平和のない現実の中で平和を真剣に問題として人々に問い、真の平和の実現を待望した。真の平和は、神のさばきと赦しの業によってのみ実現することを、人々に語り告げた。(以上新聖書大辞典より)そしてついに真の平和が実現した、「戦いによってではなく、ロバに乗ってこられた方イエス」によって。だからウエンツ先生も勝利のVサインを「ピース」と言いつつ差し出すことを望まれなかったのだろう。私たちが本当に平和を望み何かの形で表したいなら、静かに胸の前で十字を切ることが相応しいのではなかろうか。

2017年8月 6日 (日)

幸せ

 学校で使うチョーク製造を主とした日本理化学工業という会社がある。全従業員81人中60人の知的障がい者(内27人が重度の障がい者)が働いている(平成28年6月現在)。会社創立は昭和12年だが、昭和35年知的障がい者2人を雇用したことが、障がい者雇用の始まりであった。このことを目指したのは、禅寺のお坊さんから「人間の究極の幸せは、1つは愛されること、2つ目はほめられること、3つ目は人の役に立つこと、4つ目は人に必要とされることの4つです。福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが人間を幸せにするのです」と教わったからだった。日本理化学の障がい者の採用基準は重度障がい者の雇用という事もあり、1.自分の身辺処理は1人でできる 2.簡単でも返事ができる 3.一生懸命仕事する 4.周りの人に迷惑かけない の4つであり、従って時間をかけて教え指導するのではなく、それぞれの今もっている理解力に合わせて作業ができるよう環境を整える事に重点をおいている。(日本理化学HP及び「虹色のチョーク」より)
 彼らに与えられた賜物「ムラなく継続する集中力、繊細な傷や歪みや気泡を見つける注意力、異物や異変を見つける特別な察知力」が商品の品質を支え、会社を支えているというこの会社は、「日本でいちばん大切にしたい会社」と呼ばれるほどになっているが、働くことによって人間の究極の幸せを得られると全従業員が実感しているからであろう。とはいえ、この会社で、究極の幸せを得られるには四つの条件をクリアーした人でしかないし、一企業の限界もそこにある。
 九州の佐賀の地で一人住まいを続けてきた母が亡くなって4カ月半。終の棲家と決めていた自宅で一人寂しく息を引き取った。生前の母の最期の声を聴いたのは、三日後に結婚式を控えていた我が家の次男であった。「おばあちゃん、また会いにいくから」と孫の声を聴いた翌朝、親しくしてくださった近所の方々が倒れていた母を見つけてくださった。母は幸せだったのだろうかと思う。いやいや、多くの方々に愛されていた母は、一人で倒れていたとしても「最高の幸せ」だったに違いない。
 神様は私たちが「幸い」を得ることを願っておられる。そのために「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい」(マタイ7:33)と教えられた。神のために、働きあるがままを喜び生きる時に、全ての者に「幸い」が与えられると告げられている。

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